賃貸契約でトラブルになりがちなのが「敷金の取り扱い」と「退去時の原状回復費用」です。敷金は退去する際、原状回復の修繕費に充てられます。しかし、「退去する際、修繕費用は全て負担しないといけないのか？」「返金はどのようにされるのか」などと、不安に感じている方もいるでしょう。 

そこで本記事では、日本で一般的な賃貸初期費用や原状回復にまつわる法的なルール、敷金の返金方法やトラブルになった場合の相談窓口について解説します。トラブルにならないよう、賃貸契約を結ぶ前に確認しておきましょう。 

ビレッジハウスの物件は、家賃2万円台からとお手頃です。また、礼金・仲介手数料が無料なので、初期費用を抑えてお引っ越ししていただけます。さらに、条件によっては敷金が免除となる場合もあります。日本全国に1,000以上の物件を展開していますので、初期費用をできるだけ抑えたい方は、ぜひウェブサイトをご覧ください。 

日本の賃貸初期費用を理解する（敷金・礼金など） 

日本の賃貸物件は契約時に、家賃とは別に初期費用を用意する必要があります。家賃の4〜6か月分が初期費用として必要になるケースが多く、家賃が8万円なら40万円前後必要になるのが一般的です。 

賃貸契約に必要となる一般的な初期費用について、一つずつ確認していきましょう。 

※参考：国土交通省｜＜消費者の皆様向け＞不動産取引に関するお知らせ 

初期費用を節約する方法としては、「敷金や礼金ゼロ物件」「仲介手数料の交渉」「フリーレントの活用」などを利用すると良いでしょう。ただし、初期費用は管理会社や大家さんによって内容が異なる場合があるため、不明点は担当者に確認してください。 

詳しくは、「ゼロゼロ物件とは？メリット・デメリットを徹底解説！ 」のブログをご覧ください。  

入居者と大家の法律的なルール 

2020年4月より施行された改正民法（令和2年改正民法） により、賃貸借契約における敷金・原状回復に関する法律的な基準が改定されました。 

原状回復というと「入居時の状態にそっくり戻すこと」と思われがちですが、実際はそうではありません。「原状回復とは、入居者が通常の生活を送る中で自然に生じた汚れや損耗まで直すことではない」とされています。 

つまり、日常生活による経年劣化や自然な損傷の修繕費は入居者の負担ではなく、大家（賃貸人）が家賃収入の中で負担すべきものなのです。 

では実際のところ、「日常生活の中で自然に生じる汚れや傷」とはどのようなものを指し、反対に「入居者が費用を負担すべき汚れや損傷」にはどのようなケースがあるのでしょうか。 

床の場合、日光による自然な色あせは「経年劣化」とみなされ、貸主の負担になります。一方で、窓を開けたまま外出してしまい雨が吹き込んで床が変色したようなケースでは、入居者の過失と判断されるため修繕費を負担する必要があります。 

ポスターやカレンダーを貼るために画鋲やピンを使った跡、あるいは日焼けによる色の違いなどは通常の使用によるものとされ、大家の負担になります。ただし、ネジやクギを使って棚を取り付けたことで大きな穴が開いた場合などは、入居者の責任とみなされ、修繕費を負担しなくてはいけません。 

詳しくは、「敷金を取り戻す方法 」のブログをご覧ください。  

敷金に影響する契約条項（原状回復・クリーニング費） 

原状回復について 

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、日常生活で生じる傷や汚れ、経年劣化は原状回復の対象外とされています。しかし、旧民法では明確に規定されていなかったため判断が曖昧でしたが、2020年4月の改正民法により、入居者に過失のない損耗や経年劣化については原状回復の義務がないことが法文でも明確になりました。 

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。 

引用：第621条｜賃借人の原状回復義務 

ただし、契約内容や修繕の範囲によっては、上記のルールに当てはまらないケースもあります。特約などで別途取り決めがされている場合もあるため、修復箇所や負担範囲については、不動産会社や大家さんと認識のずれが生じないよう確認しておきましょう。 

クリーニング費について 

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、本来のクリーニング費は退去時に発生するものであり、入居時に一律で請求する費用は法律上の必須項目ではないとされています。ただし、賃貸契約書に特約として、ハウスクリーニング代を入居者が負担するといった内容が明記されていれば入居者が負担します。 

クリーニング費用の相場（故意過失がない場合） 

「クリーニング費用が高すぎる」「退去時にもクリーニング費用は必要？」などの疑問点は、その場で担当者に内容を確認してから契約書にサインするようにしましょう。 

敷金から差し引かれる費用 

原状回復にかかる費用は、入居時に預けた敷金から差し引かれる形で精算されるのが一般的です。もし、修繕費が敷金の金額を超える場合は追加で支払いが求められ、反対に修繕費が少ない場合は差額分が返金されます。 

なお、前述のとおり経年劣化や通常の使用による汚れ・損耗のみであれば、国土交通省のガイドラインに基づき、原則として敷金は全額返還されるのが基本的な考え方です。ただし、以下のような理由がある場合は、敷金から差し引かれるため留意しておきましょう。 

• クリーニング費用（契約書に負担と明記されている場合） 

• 経年劣化や通常消耗範囲外の、クロスやフローリングの傷やシミなどの修繕費 

• キッチン・バス・トイレなどの設備交換が必要な場合のひどい汚れ 

退去立会いと確認書のポイント 

退去の立会いは、修繕が必要な箇所の費用負担が誰なのか確認するためのものです。退去の立会いでは、家具や家電をすべて搬出して掃除を済ませてから、入居者と管理会社、もしくは大家さんと室内をチェックします。 

なお、入居前からある傷や汚れは、証拠があれば修繕費を支払う必要はありません。写真や動画にて記録しておき、貸主に提出しましょう。写真や動画で記録する場合、日時や時刻の自動記録機能を有効にすることが重要なポイントです。 

立会いが終了したら、敷金の精算についての詳細や内訳などが書面に提示されている明細書や確認書を受け取ります。請求額の項目や説明が不十分な場合、契約書と照らし合わせて説明を求めることも可能です。 

また、納得できない項目や明細書の発行を拒否された場合はサインしないでください。トラブルに発展しそうな場合は、後述する専門家に相談すると良いでしょう。 

敷金をスムーズに返還してもらうために 

精算明細書が届いたら、修繕費・クリーニング費・賃料滞納などの内容を確認し、疑問点があれば早めに問い合わせましょう。なお、返金は一般的に、退去から1〜2か月以内が目安となります。契約書に「敷金返還時期」について明記されているケースもあるため、確認しておくと安心です。 

敷金の返金が遅れている場合は、メールにて返金手続きを促してみましょう。 

返金が遅れている場合の例文 

株式会社〇〇不動産 御中 
または〇〇様（担当者名がわかる場合） 

拝啓　平素よりお世話になっております。 
〇〇マンション〇〇号室に入居しておりました（氏名）です。 

〇年〇月〇日に退去の立会いおよび精算内訳書を受領いたしましたが、 
1か月以上経過しても、敷金のご返金が確認できておりません。 

つきましては、契約書に記載の返還期日および精算内容に基づき、 
お手続きの進捗状況を確認させていただきたく存じます。 

お手数をおかけいたしますが、振込予定日および返還金額について 
ご教示いただけますと幸いです。 

何卒よろしくお願い申し上げます。 

敬具 

―――――――――――― 
（氏名） 
〒（住所） 
電話番号：〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇 
メールアドレス：〇〇〇@〇〇〇 
―――――――――――― 

トラブルが起きたときの相談先と解決方法 

管理会社や大家さんとトラブルが起きた場合は、以下の窓口へ相談してください。賃貸契約のトラブルに詳しいスタッフが対応してくれます。 

なお、賃貸借契約書や契約時の領収書（振込明細書）、管理会社や大家さんとやりとりをした記録などを準備しておくと具体的に相談がしやすくなります。 

相談窓口で問題が解決しない場合は、専門の職員や裁判官が入居者と管理会社（大家さん）の間に入って問題をサポートする「民事調停」や、「少額訴訟」をする方法もあります。詳しい内容は簡易裁判所へお問い合わせください。 

契約前に確認しておくべきポイント 

契約書でチェックすべき項目 

契約期間や更新の有無、家賃の支払い方法、解約の予告期間などの基本情報に加え、「修繕費や原状回復の負担範囲」が、どの程度の汚れや損傷を入居者負担とするのか確認しておきましょう。 

敷金・礼金・クリーニング費などの内容を確認 

敷金や礼金の金額だけでなく、退去時に差し引かれる可能性のある費用（ハウスクリーニング代、エアコン清掃代、鍵交換費など）の記載を確認します。「クリーニング費は一律で入居者負担」となっているケースもあるため、契約前に金額や内容を明確にしておくと安心です。 

事前に確認しておくと安心な事項 

• 経年劣化や通常損耗はどこまで貸主負担になるのか 

• 壁や床の傷・汚れなど、入居者負担になる具体的な事例があるか 

• 退去時の立会い方法や、敷金返還までのおおよそのスケジュール 

• 修繕費の算出方法（実費精算なのか、定額なのか） 

• クリーニング費用や鍵交換費が発生する場合の根拠　など 

疑問点があれば、不動産会社や大家さんに確認しておきましょう。口頭だけでなく、メールなど記録に残る形でやり取りしておくと、退去時のトラブル防止につながります。 

まとめ 

敷金・礼金・原状回復費用の基本ルールや注意点、契約前に押さえておきたいポイントを以下にまとめました。 

• 敷金は退去時の原状回復費用に充てられる 

• 経年劣化や通常損耗による原状回復費用は入居者負担にならない 

• 礼金は大家さんへのお礼として支払うため返金されない 

• 原状回復は「入居時の状態に戻すこと」ではない 

• 入居者負担となるのは、過失や不注意のよる損傷や汚れ 

• 入居時のクリーニング費用は、契約書に明記されている場合に限り入居者負担 

• 退去時の立会いで修繕箇所の負担を確認する 

• 精算明細書や確認書は内容を丁寧に確認し、納得できない場合はサインしない 

• トラブルが起きた場合は専門家に相談する 

• 契約前に疑問点がある場合は、必ず不動産会社や大家さんに確認する 

ビレッジハウスが取り扱っている物件では、敷金・礼金・仲介手数料が不要（※）です。また、フリーレント（※）を活用することで、大幅に初期費用を抑えられます。初期費用を抑えて新居へ引越しをしたい方は、お気軽にお問い合わせください。 

※契約内容や審査の結果により、敷金をお預かりする場合があります。 

※フリーレント対象外の物件もあります。 

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街子

ライターのどいまちこです。

建築科で勉強した知識を活かし、住宅や暮らしにまつわるライターとして3年以上の執筆経験があります。セルフリノベーションが趣味で、ペンキ塗りや壁紙貼りが得意です。

現在、祖父母から受け継いだ築80年以上の古民家を繕いながら、保護猫2匹と娘のふたりでゆるりと暮らしています。

畑で採れた野菜と父が釣ってきた魚などを簡単に調理し、暑い日にはキンキンに冷えたビール、寒い日はホカホカと温まる熱燗を嗜む時が至福のひとときです。