多くの人が、人生のどこかのタイミングで一人暮らしという通過儀礼を経験します。欧米諸国では、18〜20歳頃に大学進学をきっかけに家を出るのが一般的とされてきました。一方で、多くのアジア諸国では、20代〜30代になっても親と同居を続けるケースが珍しくありません。日本でも、2014年の調査によると、35〜44歳の独身者のうち300万人以上が親と同居しており、20〜34歳の成人でも実家暮らしの割合は高いことがわかっています。
一人暮らしは、初めての人にとっても、慣れている人にとっても、決して楽なことではありません。だからこそ、日々の習慣やルーティンを通じて、生活にある程度のリズムや構造を持たせることが大切です。「人間は習慣の生き物」とよく言われるように、習慣は毎日をスムーズに過ごす手助けとなり、自分の人生にコントロール感や目的意識を与えてくれます(詳しくはこちら)。特に一人暮らしでは、日本にいても海外にいても、心のバランスを保つための習慣やルーティンを意識的に作ることがより大切になってくるでしょう。
モーニングルーティン

一日を気持ちよく始められるかどうかで、その日の充実度が大きく変わってきます。そんな一日の流れを良い方向に導いてくれるのが、整ったモーニングルーティンです。朝の習慣を持つことで、気持ちよく一日をスタートできるだけでなく、生産性が上がり、ストレスが軽減され、心身の健康にもつながります。
一人暮らしでは、すべてを自分で決められる自由がある一方で、責任を負うのも自分だけ。これは諸刃の剣であり、特に自己管理が得意でない人にとっては注意が必要です。モーニングルーティンは、スケジュールに沿って行動する習慣を身につける助けになります。たとえば、毎日決まった時間に起きて、ベッドを整え、洗顔などを済ませて、朝食を作り、出勤・登校の準備をする—そんな一連の流れが生活にリズムを与えてくれます。
モーニングルーティンを一つひとつこなしていくことは、ただ目を覚ますためだけでなく、頭をすっきりさせて集中力を高め、仕事や勉強のパフォーマンス向上にもつながります。そして、朝のタスクをやり切ったという達成感は、「自分のことを自分でちゃんとできた」という実感につながり、自信や自己肯定感を高める良いきっかけにもなります。
小掃除

家事は、どんなに後回しにしたくても、結局はやらなければならない「必要悪」です。一人暮らしでは、プロに掃除を頼めるほどの経済的余裕がなければ、部屋を清潔で整った状態に保つのはすべて自分の責任になります。そして実際にやるべきことをリストアップしてみると、その多さに圧倒されてしまうことも。そんなときに役立つのが、「小掃除」という考え方です。
小掃除は、家事を小さく分けて、こまめにこなしていくという、近年注目されている習慣です。ゴシゴシ掃除やモップがけ、掃除機がけ、雑巾がけなどを「丸一日かけて一気にやる」のではなく、短い時間で効率よく済ませられる掃除スケジュールを立てるのがポイントです。特に先延ばししがちなタイプの人には、「1分ルール」がおすすめです。1分以内で終わることなら、今すぐやる—それだけで部屋の散らかり具合は大きく変わります。たとえば、料理の後にキッチンカウンターをサッと拭く、脱いだ服を洗濯カゴに入れる、アウターをクローゼットやハンガーに戻す、机の上を片づける、使った後のシンクを軽く拭くなど。慣れてきたら、1分を5分、10分、15分と、タスクに合わせて少しずつ広げていけばOKです。
小掃除は、家事への負担感を軽減できることから、特に若い世代や一人暮らしの人々の間で注目を集めています。家事を小さな作業に分けて取り組むことで、掃除や片付けにかかる時間を短縮できるだけでなく、少ない労力で部屋のきれいな状態を長く保つことができます。
食事習慣

食事の時間をしっかり確保しようと考えるとき、多くの人がまず思い浮かべるのは、栄養バランスの取れた食事を摂ることです。しかし見落とされがちなのは、食事の時間そのものが、身体だけでなく心の健康にも大きな影響を与えるという点です。
研究によると、人の食欲は概日リズムと深く関係しており、このリズムはおよそ24時間周期で、生理機能や睡眠、食事のタイミング、代謝、行動などを調整しています。このリズムが乱れると、睡眠や食生活に支障をきたすだけでなく、肥満や2型糖尿病、心血管疾患などのリスクが高まることもわかっています。
食事の時間を確保することは、健康的な食習慣を身につけるきっかけとなり、空腹のサインを整え、食べ過ぎを防ぎながら、一日を通してバランスの取れた栄養を摂る助けにもなります。こうした習慣は、身体全体の健康維持にもつながります。
また、食事の時間を決めておくことで、1日にリズムやメリハリが生まれ、食べることが好きな人にとっては楽しみのひとつにもなり、1日を前向きに過ごすためのモチベーションにもつながります。さらに、規則正しい食事の時間は、家族や友人、同僚との交流や絆を深める機会にもなり、特に一人暮らしの人にとっては、孤独感や寂しさを和らげる助けにもなります。
帰宅後のリラックスタイム

仕事や学業の負担が大きいことで知られる日本では、帰宅後にしっかりと心身を休める時間を持つことが、健康や心の安定にとって重要であり、良好なワーク・ライフ・バランスを保つためにも欠かせません。
夜にリラックスする主な理由のひとつは、日中に蓄積されたストレスを和らげ、手放すためです。コルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンの分泌を抑えるようなアクティビティに取り組むことで、心が落ち着き、穏やかさや安心感が得られるだけでなく、睡眠に向けて体を整える効果も期待できます。
仕事や学校から帰宅した後、夕方にくつろぐことは、うつ病や不安症の予防にも役立つという研究結果もあります。様々な気分転換のアクティビティやリラクゼーションのテクニックは、筋肉の緊張を和らげ、脳機能を向上させ、より良い睡眠を促します。リラックスするために何をするかはあなた次第ですが、以下のような方法があります。
- ヨガ
- 瞑想
- 呼吸エクササイズ
- 塗り絵
- パズルに取り組む
- 温かいお風呂に入る
- 日記をつける
- 心が落ち着く音楽を聴く
- 就寝前のルーティンを作り継続する
快眠のためのナイトルーティン

毎日の就寝前のルーティンとは、就寝前の30分から60分間に、通常同じ順番で行う一連の作業やアクティビティのことを指します。このようなルーティンは、脳と体に「そろそろ寝る時間だ」と知らせ、自然に眠る準備ができるよう促してくれる点で効果的です。
研究によると、脳は就寝予定時刻の2〜3時間前から、少しずつ眠りの準備を始めるとされています。就寝前のルーティンを取り入れることで、目覚めた状態から自然に眠りへと移行しやすくなり、一定の睡眠スケジュールと組み合わせることで、就寝時に無理なく眠気を感じられるようになります。
就寝前のルーティンは、睡眠の質を高めるだけでなく、次のようなメリットもあります。
- 健康的な体重を維持しやすくなる
- ストレスや不安の軽減につながる
- 免疫力を高める
- 脳の働きをサポートし、翌日の集中力や生産性が向上する
- 気分や感情のコントロールを助け、安定させる
夜のリラックスアクティビティと同様に、就寝前のルーティンも人それぞれ異なります。とはいえ、就寝の1〜2時間前にデジタルデトックスを取り入れることは、多くの人に勧められている習慣です。スマートフォンやノートパソコン、タブレットなどの画面から発せられるブルーライトは、脳に「今は昼間だ」と錯覚させてしまい、睡眠サイクルをつかさどるホルモンであるメラトニンの分泌を妨げます。その結果、なかなか眠気がこず、寝つきが悪くなってしまいます。
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フリーライターとしてVillage House Blogで2年以上の執筆およびESL教師の経験を持ち、チェコ共和国、英国、アラブ首長国連邦、日本、さらに直近ではジョージアなどの国での生活経験を有するデジタルノマドです。映画祭、コンサート、劇場に行く楽しみがないときのリモートワークに最適な、魅力あるアパートを常に探しています。