世界中で聖バレンタイン
聖バレンタインの祝いの起源は、この守護聖人を祝うキリスト教の祝祭から始まりました。しかし今日では聖バレンタインの祝祭は、バレンタイン伝説を超えてはるか遠くまで世界中に広がっています。聖バレンタインデーには、お祝いにグリーティングカード(このカードを「バレンタイン」と呼びます)とプレゼントを贈ったりします。贈り物としてごく一般的なのは、花、お菓子、ジュエリーなどです。
バレンタインデーは、パートナーや恋愛感情を抱く相手にロマンチックな愛を表現する日として最も知られています。それ以外にも、友人や家族に対する愛情や感謝を表す日にもなってきており、この傾向は日本のバレンタインデーにもいえます。
日本ではここ数十年、クリスマスやハロウィンなど、他国のさまざまな祝い事を取り入れ、自分たちのやり方でそうした行事を楽しむようになってきました。各企業は抜け目なく、各々のイベントにちなんだ美しくておいしい商品をさまざまに提供しています。趣向を凝らしたチョコレートやクリスマスケーキが季節商品として紹介され、日本で賞味されるさまざまな旬の食べ物とともに、それらを味わうのも年間行事を次々に祝う素敵な習慣になっています。
聖バレンタインの祝祭は海外由来のものですが、日本のバレンタインデーの祝い方には、欧米諸国と比べて大きく違う点がいくつかあります。
日本のバレンタインデーの歴史
日本では、1950年代にバレンタインデーが普及し始めました。チョコレートをハート型にしたり、ハート形の箱に入れたりして販売したのが始まりです。そこから発展して、デパートでは店頭ディスプレーに凝るようになり、チョコレートもさらに美しいギフトへと進化していきました。
日本のバレンタインデー文化のなかで対になるイベントが、バレンタインデーからちょうど1ヵ月後となる3月14日のホワイトデーに行われます。日本には「お返し」の習慣があり、バレンタインのお返しとしてホワイトデーが作られたのです。
ホワイトデーには男性が、プレゼントを贈ってくれた女性に対し、チョコレートやマシュマロなどのお菓子をプレゼントすることになっています。
近年では、「義理チョコ」のプレッシャーについて議論が交わされており、贈り物をしなければという心情的負担が、本来なら表明できたはずの心からの感謝の気持ちを取り去ってしまうのではとされています。
日本のバレンタインデー文化
では、日本の人々はバレンタインデーをどのように祝うのでしょう。それはすべて、あるひとつのものに集約されます。12月24日は、カップルや独身者がデートをしてプレゼントを贈るロマンチックなお祝いですが、バレンタインデーはそれとは異なります。日本の人々のバレンタインデーの祝い方としては、チョコレートが圧倒的な位置を占めています。
日本のバレンタインデーの祝い方の大きな相違点のひとつは、バレンタインデーのお楽しみを提供する義務が、主に女性側にある点です。これは世界一般とは真逆で、他国ではバレンタインデーには歴史的に、男性側が女性に愛の証としてプレゼントを贈るというものでした。とはいえ、ジェンダーの役割が進化するにつれ、これも徐々に変化してきてはいます。同様に、日本のバレンタイン文化も、今ではもっと柔軟になっています。今年は、コロナ禍で自宅にこもってソーシャルディスタンスをとっていたご褒美として、自分自身に贈るという話もよく耳にします。
日本のバレンタインデーは、女性が批判を受けることなく恋愛感情を表明できる機会だったのです。このイベントが日本で最初に普及した頃には、女性が好きな人に告白するのは、はしたない行為とされていました。
日本のバレンタインチョコレート
日本のバレンタイン文化といえば、チョコレートに尽きます。日本では、バレンタインデーに贈られるプレゼントのほとんどがチョコレートです。
バレンタインチョコは、日本のバレンタインデー文化の主要な要素になりますが、他の贈り物をすることもできます。
バレンタインデーチョコレートは世界中で贈られていますが、日本のバレンタインチョコの習慣には、いくつか独特なものがあります。
日本では、職場や家庭や友人同士で良好な人間関係を維持するために、贈り物をするのが文化的に重要な習慣となっていますが、バレンタインチョコもその例外ではありません。
日本のバレンタインチョコは、次の3つに分類されます。
義理チョコ
「義理で贈るチョコレート」という意味の「義理チョコ」は、おそらく最も日本特有の形のバレンタインチョコでしょう。贈り物への社会的な期待が発生する状況というものがあります。旅行に行けば同僚へのお土産を買うなど。そして日本では、バレンタインデーにもそれが発生します。
義理チョコは、女性から男性の同僚や家族に対して贈るチョコレートです。通常は、比較的安価であっさりしたチョコレートになります。
本命チョコ
本命バレンタインチョコが、日本のバレンタインデーが始まったときの元々の祝い方です。本命とは「大好きな本命」の意味で、好きな人や告白したい人に贈ります。一番大切なチョコになるので、たいていは、味が良くて贈答用としても美しい高級チョコレートになります。
本命チョコとしてはほかにも、溶かした板チョコを型に入れ、デコレーションを施してオリジナルチョコを作ったり、チョコを使ったお菓子を焼いたりする場合もあります。
友チョコ
バレンタインチョコの3つ目のタイプは、女性が親しい友人に贈る健全なプレゼントです。通常はとても高級なチョコレートで、贈られた人は、贈ってくれた人といっしょにそれを味わうこともよくあります。