はじめに
福井県は、国内外の旅行者に見過ごされがちですが、日本のまだ知られていない魅力を多く秘めた地域です。日本海沿岸に位置するこの静かでありながら魅力あふれる地域は、豊かな歴史、自然の美しさ、そして個性あふれる見どころが詰まっています。福井ガイド第1弾では、古城や先史時代の発見など、福井を代表する有名なスポットをご紹介しましたが、今回はさらに一歩踏み込んで、福井の知られざる魅力をお届けします。歴史的な名所をじっくり巡りたい方にも、静けさと自然の中で癒されたい方にも、人混みを避けながら日本の真の魅力を堪能したい方にとって、福井は理想的な旅先であることを、この第2弾でご紹介します。
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一乗谷朝倉氏遺跡
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一乗谷朝倉氏遺跡は、室町時代に朝倉氏の拠点となった城下町で、その一部が復元された貴重な遺跡です。
福井県の中央部に位置するこの町は、日本統一を目指した織田信長によって1573年に焼き払われるまで、地域の文化、軍事、商業の中心地として繁栄し、1万人以上の住民が暮らしていました。
この遺跡は滅亡から400年後にようやく発掘され、現在では城下町の一部が室町時代の姿に復元されています。復元されたエリアには、200メートルほどの通り沿いに武士や商人、職人たちの塀に囲まれた家が再現されており、一部の建物や家屋には家具やマネキンが置かれ、当時の人々の暮らしや仕事の様子を視覚的に体感できます。また、その他の遺跡は周辺一帯に広がっており、訪問者は自由に散策することができます。
2022年に一乗谷駅からすぐの場所に遺跡に関する博物館がオープンしました。館内では、遺跡から発掘された出土品が展示されているほか、城下町の最盛期を詳細に再現したジオラマも鑑賞することができます。
一部復元された通りへの入場料は大人330円、小中学生と70歳以上は100円です。
遺跡へアクセスするには、福井駅から62番バスに乗り、復原町並で下車します。所要時間は約30分で、料金は片道680円です。ただし、このバスは2~3時間に1本と運行本数が非常に少ないため、計画的に利用することをおすすめします。
博物館を訪れたい人は、福井駅からJR越美北線に乗り、一乗谷駅で下車してください。所要時間は15分で、駅からは徒歩3分でアクセスできます。
一乗谷朝倉氏遺跡と博物館の詳細については、公式ウェブサイトをご覧ください。
めがねミュージアム
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めがねミュージアムは、日本最大の眼鏡メーカーに特化した博物館です。
日本製メガネフレームの9割以上を生産する福井県鯖江市にあるこのミュージアムでは、110年にわたるメガネ製造の歴史、江戸から昭和にかけてのメガネの変遷や進化、1本のメガネが完成するまでに必要な200以上の工程について学ぶことができます。また、実際に体験したい方は、自分だけのフレームを作れるメガネ作りのワークショップを予約することも可能です。
鯖江市で眼鏡産業が始まったのは、1905年に鯖江市議会議員の増永五左衛門(1871~1938)が、冬の農閑期に地域の農家を支える産業を生み出そうと考え、熟練の眼鏡職人を招いて鯖江の職人たちに眼鏡作りを教えたことがきっかけでした。現在、眼鏡作りに協力する企業が100社以上あり、その精密な技術と高品質な眼鏡で世界的な名声を誇っています。
館内には眼鏡ショップが併設されており、福井県内のメーカーが製造した人気のメガネやフレームを2500種類以上取り揃えています。ショップでは、視力検査、眼鏡のクリーニング、フィッティング、調整などのサービスも提供しています。
ミュージアムとショップは、水曜日を除く毎日午前10時から午後7時まで営業しており(ミュージアムは午後5時まで)、JR鯖江駅から徒歩わずか10分でアクセスできます。建物の屋上には、大胆で鮮やかな赤いメガネのオブジェが堂々と飾られており、一目で見つけることができます。詳しくは公式ウェブサイトをご覧ください。
雄島
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雄島は、坂井市の東尋坊の断崖(こちらについては後ほど詳しくご紹介します)の沖合に位置する小さな島です。島へは、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場する銭湯の橋を彷彿とさせる、鮮やかな朱赤の美しい橋を渡って簡単にアクセスできます。
この島は、人間が住むには神聖すぎると考えられており、無人島となっています。また、地元では神々が宿る島と信じられていたことから、「神の島」とも呼ばれています。
雄島は、南国特有の木々が生い茂る美しい森に囲まれています。島には大湊神社があり、地元の住民は海へ出て生計を立てる人々の安全な帰還を祈るために、78段の石段を登って参拝します。この地域の海は、荒波や厳しい気象条件で知られており、地元の漁師にとって漁は非常に困難で危険なものとなっています。
神社のほかに、島には小さな灯台もあり、全周約2kmと小さいため、島全体を1時間ほどで歩いて一周することができます。
島を訪れるのに料金はかかりませんが、島の神社に祀られている神が、真夜中に島を訪れる者に祟るという地元の伝説があるため、日没後に行くのはおすすめできません。
東尋坊の断崖
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東尋坊の断崖は、福井市の北に位置し、日本海に沿って約1km続く荒々しい玄武岩の絶景です。この険しい海岸線は、長い年月をかけて波によって削られた結果、深い裂け目や切り立った崖が形成され、高さは海面から30メートルにも達します。
東尋坊の断崖が独特で貴重な自然現象とされる理由は、韓国やノルウェーなど、世界でも限られた場所でしか見られない六角形や五角形の柱状節理が存在することです。この柱状節理と呼ばれる珍しい地質現象は、溶岩やマグマが冷却・固化する際に、柱状の亀裂が形成されることで生まれます。マグマが地表へ上昇する過程で冷えて収縮することで、五角形や六角形の柱状の亀裂が生じ、それが東尋坊の断崖を特徴づける独自の構造となっています。
東尋坊という名前の由来については、いくつかの伝説が伝えられています。一説では、東尋坊という僧侶が、王女の愛をめぐって争ったライバルの求婚者に崖から突き落とされ水死したとされ、別の言い伝えでは、僧侶が地元の人々の怒りを買い、崖から突き落とされたとも言われています。いずれにしても、この崖で誰かが命を落としたという話が、この地域の神秘性や幽霊が出るという噂をより一層深めているようです。東尋坊を訪れる際は、断崖の端まで自由に歩くことができる一方、エリア全体がバリアフリーで安全柵がないため、崖の名前の由来となった人物と同じ運命を辿らないよう十分注意しましょう。
東尋坊の断崖へ行くには、福井駅からえちぜん鉄道に乗り、三国芦原線の終点である三国港駅で下車します。所要時間は約50分、運賃は片道770円です。三国港駅に到着したら、1時間に1本運行されている京福バスに乗り換えます。バスの所要時間は約5分で、運賃は片道200円です。
バス停や駐車場から崖までの道沿いには、レストランや屋台、地元の特産品や海産物を販売する土産物店など、観光客向けのお店が並んでいます。近くには、360度のパノラマビューを楽しめる東尋坊タワーがあり、入場料は500円です。
時間に余裕のある人は、崖を越えて北へと続く海岸沿いの遊歩道を散策し、展望台や休憩小屋、野生動物、そして海辺の美しい風景を楽しむことができます。崖の南側には小さな漁村があり、雄島へ渡る鮮やかな朱色の歩道橋があります。
人道の敦賀港
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敦賀港は、明治時代から昭和初期にかけて、ヨーロッパとの交通の要衝として歴史的な役割を果たしてきました。しかし、福井県の敦賀港には、十月革命や第二次世界大戦中のユダヤ人難民との深いつながりという、あまり知られていない興味深い歴史があります。こうした背景から、敦賀市の金ヶ崎公園には「人道の港 敦賀ムゼウム」が設けられており、この2つの激動の時代における敦賀市の歴史と人道的な取り組みを訪れる人々に伝えています。
ムゼウムでは、リトアニアのカウナスで日本帝国の副領事を務め、ナチス・ドイツによるヨーロッパ占領時代に多くのユダヤ人難民の命を救った日本の外交官、杉原千畝について学ぶことができます。杉原千畝は日本政府の指示に逆らい、「命のビザ」とも呼ばれる日本への通過ビザを発給しました。敦賀港は、ヨーロッパからシベリア鉄道を経て、長く過酷で危険な旅路を終えた難民たちが上陸した場所でした。
また、この出来事に先立ち、敦賀は十月革命の際、ロシアやシベリアで避難生活を余儀なくされた多くのポーランド孤児を受け入れていたことも知ることができます。日本赤十字社とポーランド孤児救済委員会の共同の取り組みによって、飢餓や病気、貧困、ホームレスの危機に直面していた約760人の孤児が救出されました。彼らはまずウラジオストクに運ばれ、その後1920年にボートで敦賀港へと到着しました。
ムゼウムは、水曜日を除く毎日午前9時から午後5時まで開館しています。入館料は大人500円、子供300円です。敦賀駅から徒歩30分でアクセスできるほか、3番乗り場(観光ルート)または4番乗り場(コミュニティバス)からバスを利用できます。詳しくは公式ウェブサイトをご覧ください。
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フリーライターとしてVillage House Blogで2年以上の執筆およびESL教師の経験を持ち、チェコ共和国、英国、アラブ首長国連邦、日本、さらに直近ではジョージアなどの国での生活経験を有するデジタルノマドです。映画祭、コンサート、劇場に行く楽しみがないときのリモートワークに最適な、魅力あるアパートを常に探しています。