日本の不動産業界でよく使われる「事故物件」という言葉。正式には「心理的瑕疵物件」と呼ばれており、過去に何らかのネガティブな出来事があった物件を指す不動産用語です。
アパートや一戸建て、あるいはその立地自体に物理的な問題はありませんが、過去の経緯から何らかの「嫌な印象」を持たれてしまうことがあります。そのため、こうした物件は同じエリアの通常の家賃や販売価格よりも30〜40%ほど安くなることがよくあります。
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心理的瑕疵

日本の法律では、「宅地建物取引業法」により、物件所有者や不動産業者には、入居希望者にとって生理的・心理的な不利益となる可能性のある瑕疵をすべて開示する法的義務があります。しかし、「瑕疵」の定義が曖昧であることから、国土交通省は2021年10月、実際の事例や判例をもとに、「事故物件」の管理・告知のあり方について、物件所有者や不動産業者向けの新たなガイドラインを策定しました。
物件が「事故物件」と見なされる理由のひとつに、その物件や周辺で、不動産の価値や市場性に悪影響を及ぼすような出来事が起こることがあります。こうした出来事があると、物件には「心理的瑕疵」が残るとされ、たとえば、誰かが亡くなった物件、特に自殺や事件による死亡があった場合は、借り手や買い手が敬遠する傾向があります。
原因

自然死や事故、自殺、殺人など、死は物件が「事故物件」と見なされる最も一般的な理由のひとつです。亡くなった経緯にかかわらず、そうした暗い過去のある物件を購入・賃貸することに抵抗を感じる人は少なくありません。
しかし、「心理的瑕疵」を残す可能性があるのは、死だけではありません。次のような問題がある物件や地域も、市場価値や市場性に影響を与えることから、事故物件に分類されることがあります。
- 犯罪歴のある場所: 犯罪や暴力団の活動歴がある物件・建物・地域、薬物使用が行われていた場所、詐欺の現場など。
- 被害・損害の履歴: 火災、ガス漏れ、動物の侵入、洪水、アスベスト、カビなどの被害が過去にあった物件・建物・地域。
- 有名・話題になった場所: 映画やテレビ番組などで取り上げられた物件、有名人や悪名高い人物、歴史的著名人が所有していた物件、あるいは歴史的事件の舞台となった場所。
- 人に関する問題: カルト団体の活動歴がある場所、所有権や相続をめぐるトラブル、借金問題、ストーカー被害を受けた入居者が以前住んでいた物件・建物・地域など。
- 立地に関する問題: 古井戸や湧き水の上に建てられた物件、廃棄物処理場や化学工場、埋葬地、墓地、霊園、火葬場の近く、または交通量や交通事故が多発する道路沿いなど。
- 超常現象: 幽霊や不可解な現象が報告されている物件・建物・地域。特に、暴力的・陰惨・不自然な死が関係している場合。
ガイドライン

前述のとおり、物件所有者や不動産会社には、死亡に関する出来事を含む、事故物件に該当する問題を入居希望者や購入希望者に対して開示する法的義務があります。
不動産会社が物件所有者に代わって物件を管理する場合、不動産会社は物件所有者から情報を収集し、過去の出来事に関する問い合わせに対応するための調査を行う責任があります。
物件内での死亡、特に自殺や不自然な死因による場合は、日本の宅地建物取引業法により、「重要事項説明書」への記載が義務付けられています。ここでいう「物件内」には、住居内だけでなく、エレベーターや階段といった共用部分での死亡も含まれます。こうした出来事や「心理的瑕疵」を開示しなかった場合、不動産会社や物件所有者は、法的責任を問われる可能性があります。
このような事故については、発生から3年以内であれば、購入希望者や入居希望者に開示する義務があります。3年を過ぎると、不動産業者や物件所有者には、その情報を開示する法的義務はなくなります。ただし、社会的に大きな影響を与えた事件については例外で、発生から何年経過しているかにかかわらず、買主や借主に説明する必要があります。
お得な物件

「心理的瑕疵」があることで、市場価値が下がり、事故物件は借り手や買い手が見つかりにくくなる傾向があります。そのため、家主や不動産会社は、家具・家電付きにしたり、家賃を割引するなどして、入居者や購入希望者を引きつけようとするのが一般的です。
物件内や周辺で発生した出来事の内容によっては、家主や不動産会社が以下のような割引を提供することがあります。
- 自然死や孤独死があった場合、家賃や売買価格が5〜10%ほど割引されることがあります。自然死とは病気などの自然な原因による死亡で、孤独死はそうした自然死が誰にも看取られずに一人で起こったケースを指します。
- 自殺があった物件では、その場所が室内か共用部分かによって、10〜30%の割引が適用される場合があります。
- 殺人を含む暴力的・陰惨な死亡事件が発生した物件は、家賃または売却価格が最大50%減額される可能性があります。
さらに、幽霊の目撃情報やカルト教団の活動など、超常現象の歴史がある物件も、価値や市場性に影響を与えることがあります。そのような物件にあえて住んでみようという勇気ある人は、こうした情報を活用して、より魅力的な条件で交渉できるかもしれません。物理的な欠陥と心理的瑕疵の両方を抱える物件にも同じことが言えます。もしこのような物件に興味がある方は、日本国内だけでなく世界中の事故物件が掲載されているこちらのサイトをチェックしてみてください。
注意点

賃貸物件を探したり、家の購入を検討しているとき、特に相場が高いエリアで「安すぎる物件」を見つけた場合は、契約書にサインする前に、しっかりと下調べをしておくことが大切です。
信頼できる不動産会社や物件所有者であれば、過去に起きた出来事について購入希望者や借り手に開示するのが一般的です。とはいえ、必ずしも情報がすべて明らかにされるとは限りません。物件の書類をしっかり確認することはもちろん重要ですが、実際に物件を内見する際にチェックしておきたいポイントをいくつかご紹介します。
- 建物自体は古いのに、室内だけがフルリノベーションされていて新築のように見える。
- 家やアパートの一部だけが改装されていて、ほかの部屋より明らかに新しい。
- 家具や家電がちぐはぐで、新しいものと古いものが混在している。
物件を実際に見に行くだけでなく、地域や周辺環境について、インターネットで調べたり、近所の人に直接話を聞いてみたりするのもおすすめです。また、物件所有者や不動産会社に対して、以下のような質問をしてみるのも良いでしょう。
- 前の入居者はいつまでここに住んでいたのですか?また、なぜ退去したのですか?
- 物件はどのくらい空室になっていますか?(人気エリアにもかかわらず長い間空室になっている場合は、その理由を尋ねると良いでしょう)
- この建物や周辺地域には、○○に関する過去がありますか?(事前に調査済みであれば、それをもとに不動産業者や物件所有者の回答や対応を試すことができます)
- 価格交渉は可能ですか?/どのようなインセンティブや家具が含まれますか?
もしあなたが事故物件を積極的に探しているのであれば、そのことを不動産会社や物件所有者に伝えてみましょう。そうすることで、物件に関する情報をより詳しく教えてくれる可能性があります。
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フリーライターとしてVillage House Blogで2年以上の執筆およびESL教師の経験を持ち、チェコ共和国、英国、アラブ首長国連邦、日本、さらに直近ではジョージアなどの国での生活経験を有するデジタルノマドです。映画祭、コンサート、劇場に行く楽しみがないときのリモートワークに最適な、魅力あるアパートを常に探しています。