新しい物件への住み替えを検討する際、気になるのが退去費用です。部屋の汚れや傷をつけてしまった場合、高額な修繕費用を請求されるのではないかと不安に感じる人も多いでしょう。 結論として、入居者が全ての汚れや傷の修繕費用を負担する必要はありません。重要なのは、それが「経年劣化によるものか」、「原状回復義務の範囲内にあるか」という点により、負担する必要があるかどうかが決まります。 そこで本記事では、退去費用についての詳細や費用の相場、退去費用を安く抑えるコツなどを紹介します。退去費用について正しい情報を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 ビレッジハウスでは、全国47都道府県にて1,000以上の物件を提供しています。住み替えのお部屋を探している方は、ウェブサイトをチェックしてみてくださいね。 退去費用はどうやって決まる? 賃貸住宅を退去する際に必要な「退去費用」とは、次の入居者が住める状態に戻すための原状回復やクリーニングにかかる費用を指します。 退去費用の内容については、国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』によってルールが定められています。賃貸借契約書もこのガイドラインに基づいて、具体的なルールが明記されていることが一般的です。 原状回復と経年劣化の違い 原状回復とは? 賃貸物件を借りる際、入居者(借主)には原状回復義務という責任が発生します。この原状回復義務は、ガイドラインで「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」と定義されています。 つまり、わざと壊したり、不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったりして生じた汚れなどは、入居者の使用方法に問題があったと見なされ、その修繕費用は入居者が負担します。 例えば、家具を移動させた際の傷や飲み物をこぼしてできたシミ、掃除を怠ったために発生したバスやトイレの水垢やカビなどがこれに該当。また、タバコの煙による壁の黄ばみや臭いも、自然に生じたものではないため原状回復の対象となります。 経年劣化とは? 「経年劣化」とは、時間の経過に伴って品質が下がる状態を指します。例えば、日光で壁や床が退色したり、風雨で建材がさびついたりするのがこれにあたります。年月と共に劣化していくこのような状態が、賃貸物件における経年劣化と呼ばれています。 また、「通常損耗」も覚えておいてください。通常損耗は、ベッドやソファを置くことで生じる床やカーペットの凹みや、家具の裏側にできる壁の電気焼けなど、普通に生活する上で避けられない傷や汚れのことです。画鋲の穴も通常の使用範囲として扱われ、通常損耗に含まれます。 一般的に、ガイドラインでは経年劣化と通常損耗に起因する修繕費用は、大家(貸主)が負担することが原則とされています。なぜなら、そもそも通常損耗の費用は賃料に含まれていると考えられているからです。 ただし、賃貸借契約書に原状回復などの特約が含まれている場合は、特約が優先されることもあるため注意が必要です。賃貸借契約書をよく確認する必要があります。 間取り・部屋の広さ別の退去費用の相場 実際にかかる退去費用を事前に把握しておくと安心ですよね。退去費用については、賃貸借契約書の特約に記載がある場合が一般的です。広さに応じて1,000円/㎡~1,200円/㎡程度に設定されていることが多いようです。入居者の故意過失がなければ、以下の費用程度で済むでしょう。 退去費用の相場 広さ・間取り 退去費用の相場 20㎡・ワンルーム 約20,000円 35㎡・1K 約35,000円 40㎡・1LDK 約40,000円 70㎡・3LDK 約70,000円 ただし、上記の金額は故意過失がない場合の目安です。ペットの汚れや傷、子供の落書き、家具の移動による床の傷などがあれば、別途修繕費用がかかる可能性があります。 居住年数による退去費用の相場 居住年数が長いほど、原状回復費用の割合が抑えられる傾向にあります。これは、住宅設備には一定の耐用年数があり、その期間を超えた損耗分については請求できないためです。 国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン によると、主な住宅設備の耐久年数は以下の通りです。 耐久年数 該当する住宅設備 5年 キッチンシンク 6年 壁紙(クロス) エアコン ガス機器 インターホン 8年 タンス 戸棚 ※金属以外の家具 15年 便器 洗面台 主に金属製品の器具や設備 それではケース別に原状回復費用のシミュレーションを確認していきましょう。 壁紙×居住年数4年 居住年数 4年 耐用年数 6年 負担割合 33.3% 料金例 30,000円×33.3%=9,990円 壁紙の耐用年数は6年です。4年住んでいた場合、壁紙の価値は入居時から66.7%下がるため、退去者の負担は33.3%となります。 エアコン×居住年数8年 居住年数 8年 耐用年数 6年 負担割合 0% 料金例 1円 住み心地が良いと、長い期間同じ物件に住む人も少なくありません。そして上記の場合、さまざまな設備が耐用年数を経過しています。しかし、耐久年数を過ぎていても最終残存価値分の1円を負担する必要があります。 室内のクリーニング費用 故意過失がない場合、退去費用は室内のクリーニング費用のみとなります。ただし、室内のクリーニング費用は広さによって異なるため、あくまで目安として参考にしてください。 クリーニング費用 1K 20,000~35,000円 1DK・1LDK 35,000~50,000円 2DK・2LDK 40,000~80,000円 3DK・3LDK 50,000~90,000円 退去費用を安く抑える7つのポイント 以下の7つのポイントに気を付けることで、原状回復費用が抑えられます。 入居時からあった傷や汚れは記録しておく 入居時からあった傷や汚れは、不要な修繕費用を請求されることを防ぐため、記録して管理会社に報告しましょう。鍵を受け取った際に「入居時チェックリスト」が渡された場合はそれを使用します。なければガイドラインにある「原状回復確認リスト」に記入して報告しましょう。 室内でのたばこは吸わない たばこの臭いやヤニの汚れは、高額な退去費用につながる可能性があります。吸う場合は換気扇の下で吸い、こまめな換気や掃除を心がける必要があります。それでも臭いや汚れが残れば高額になるでしょう 日常的に掃除をする 結露を防ぐため換気し、水滴をこまめに拭くなどの対策が必要です。放置するとカビが発生し、拭いても取れなくなってしまいます。汚れの放置は故意過失と判断され、高額な修繕費が発生する可能性があるため、日常的な掃除が重要です。 床や壁にできるだけ傷をつけないよう注意する できる限り床や壁に傷をつけないよう注意しましょう。床にはカーペットを敷いたり、家具に保護カバーを付けたりするのがおすすめです。壁に何かを取り付ける場合は、跡が残りにくいフックを選びましょう。 設備が壊れた場合は速やかに報告する エアコンや換気扇、給湯器などの設備が壊れた場合は、速やかに管理会社に報告しましょう。正常な使用で故障した設備は大家さんが修理する義務があります。報告せずに放置すると、修理費用が請求される可能性があるので注意してください。 退去時前に自分で掃除をする 退去の前には、入念に掃除をしておきましょう。外見が汚れていると、退去費用が増額される可能性が高くなります。特に水回りや家電の隙間など、普段あまり掃除しない箇所を重点的に掃除すると良いでしょう。 管理会社に退去費用の値下げ交渉する 退去費用が高額だと感じた場合は、管理会社に値下げ交渉をしてみるといいでしょう。見積もりが実際より高めに出されている可能性があるためです。具体的な根拠を示せば、数万円の値引きが得られる場合もあります。 ビレッジハウスでは、全国47都道府県にてリーズナブルで素敵な物件を提供しています。お部屋を探している方はぜひウェブサイトをご覧くださいね。 街子ライターのどいまちこです。 建築科で勉強した知識を活かし、住宅や暮らしにまつわるライターとして3年以上の執筆経験があります。セルフリノベーションが趣味で、ペンキ塗りや壁紙貼りが得意です。 現在、祖父母から受け継いだ築80年以上の古民家を繕いながら、保護猫2匹と娘のふたりでゆるりと暮らしています。 畑で採れた野菜と父が釣ってきた魚などを簡単に調理し、暑い日にはキンキンに冷えたビール、寒い日はホカホカと温まる熱燗を嗜む時が至福のひとときです。