はじめに
日本の天体観測の歴史は断片的で不明瞭ですが、記録によれば、最初の継続的で系統的な天体観測は江戸時代後期の1782年、浅草天文台で開始されたことが確認されています。これらの観測は、星を観測して経度と緯度を決定し、暦を計算し、時刻を決定することを目的として、将軍の監督の下で確立されました。
明治時代には、東京大学本郷キャンパスに学生のための天文台が建設され、これが明治期の天文学・天体観測に関する一連の国家プロジェクトの始まりとなり、現在まで続いています。
特に天体観測において、日本には天文愛好家が心ゆくまで星空を楽しめる様々な魅力的な場所があります。国際ダークスカイ協会(IDA)が実施する、世界の暗く美しい夜空を保護するための受賞歴のあるプログラム「IDSP(星空保護区認定制度)」は、2022年に日本から美星町(井原市)、神津島(東京都)、西表石垣国立公園(沖縄県)の3箇所をIDSP指定地として認定しました。離島のビーチから公共の天文台、氷河圏谷、山岳地帯の森林まで、日本には星の観察やその驚異に浸るのにふさわしい場所が数多くあります。
本記事では、次の旅行や休暇で訪れたい、日本の息をのむような星空スポットを5つご紹介します。これを読むことで、自然豊かな環境への移住を検討するきっかけにもなるかもしれません。もし自然が溢れる場所への移住をお考えなら、全国47都道府県に1,000件以上の物件を保有するビレッジハウスが、あなたニーズにぴったり合った物件を見つけるお手伝いをします。
井原市星空公園
岡山県にある井原市星空公園は、天文学者や日本スターサミットの幹部により、「日本三選星名所」に認定されました。標高500メートルの高原に位置するこの地域は、澄んだ空気と光害の少なさから、夜には理想的な星空スポットとなります。また、日中は天気が良ければ、瀬戸内海に浮かぶ島々や中国地方最高峰の「大山」を望むことができます。
井原市星空公園には、かつて海上保安庁美星水路観測所として使われていた天体観測施設があります。公園内には、願い事を書いた手紙を投函する「願いかなうポスト」や、夜には蓄光石で照らされた「願いかなう小径」が光を放ち、幻想的な雰囲気を楽しむことができます。
マイルドセブンの丘
北海道美瑛町にあるマイルドセブンの丘は、日本のたばこブランド「マイルドセブン」のCM撮影地となった丘にちなんで名付けられた場所であり、人気の星空観察・観光スポットとなっています。この影響で美瑛町は、CMやテレビ番組の撮影地として日本国内で注目される場所となりました。
それ以外にも、マイルドセブンの丘は、広大な小麦畑に囲まれた星空の背景にも恵まれています。時期によっては、昼夜を問わず季節ごとのさまざまな美しい景色を楽しむことができます。
小岩井農場
小岩井農場は、日本最古かつ最も有名な酪農場のひとつとして知られています。岩手県盛岡市にあるこの農場は、かつては不毛の火山地帯に建てられ、明治時代(1891年)に実業家の小野義眞、岩崎弥之助、井上勝によって設立されました。
この農場の名前に関する興味深い事実は、ブランド名「小岩井」が創設者たちの姓の最初の漢字を組み合わせて作られたことです。これは彼らの結束とパートナーシップを象徴しています。
小岩井農場は、総面積約3000ヘクタールで、その3分の2はスギの木で覆われています。残りの3分の1のみが農地として利用されており、牧草地や農作業用の建物、観光客向けの施設などがあります。
観光客向けの主なエリアは「まきば園」で、入場料は800円(本記事執筆時点)、開園期間は4月中旬から10月中旬までです。園内にはレストランやお土産店、ミニアスレチック、アーチェリー、ミニゴルフ、乗馬、星空観測ツアーなどがあります。冬期間中は、園内がイルミネーションで照らされ、11月中旬から1月初旬まで楽しむことができます。さらに、雪を楽しむ様々なアクティビティも体験できます。
小岩井農場へは盛岡市中心部から約20〜30分でアクセスできます。4月中旬から11月中旬までの期間は、盛岡駅から農場へのバスが運行しており、運賃は730円(本記事執筆時点)で、所要時間は約30分です。ただし、1日2~3本しか運行していないので、バスの時刻表を確認することをおすすめします。また、小岩井駅からタクシーを利用すると約10分で到着可能ですが、料金は片道約2,000円となります。
涸沢カール
涸沢カールは北アルプス南部の穂高連峰の奥深くに位置し、日本を代表する氷河圏谷として知られています。この地域は長野県上高地の中でも特に人気のハイキングコースであり、秋の紅葉時期にはハイカーにとって名所となっています。紅葉を見るのに最適な時期は9月末から10月初旬の間です。
この地域は山深く、近隣の町や都市から遠く離れているため、ほとんど光害がなく、星空観察に最適です。そのため、天文愛好家たちにも非常に人気があります。
涸沢カールは海抜約2000メートルに位置し、空が近く明るく見えるため、星空観察に最適な環境です。
京都、大阪、東京の各都市から涸沢カール行きの直行バスが出ており、バスのチケットは、10,000円から13,000円(本記事執筆時点)で販売されています。
大台ヶ原
大台ヶ原は三重県と奈良県の県境に位置する山で、大峰山脈の素晴らしい景色を誇ります。美しい景色、精神的・歴史的価値により日本の百名山に選ばれており、標高1,000メートルでのハイキングを楽しみたい初心者や経験の浅いハイカー、さらに天文愛好家に人気の場所です。
この山とハイキングコースは、メインの駐車場が山頂からわずか45分という距離にあるため、車でも簡単にアクセスできます。バスを利用する場合は、奈良の大和八木駅から乗車できますが、このバスは4月から11月のみの運行となっています。
駐車場のすぐ近くにあるビジターセンターでは、来訪者がトレイルマップを入手し、インタラクティブな展示を利用してこの地域の植物や動物について学ぶことができます。さらに、売店、レストラン、公衆トイレ、宿泊施設などが充実しています。
フリーライターとしてVillage House Blogで2年以上の執筆およびESL教師の経験を持ち、チェコ共和国、英国、アラブ首長国連邦、日本、さらに直近ではジョージアなどの国での生活経験を有するデジタルノマドです。映画祭、コンサート、劇場に行く楽しみがないときのリモートワークに最適な、魅力あるアパートを常に探しています。